冷酷陛下は十三番目の妃候補に愛されたい



「私は、貴方が陛下の妃になってくださればと心から思っておりました」

「ありがとうございます。いろいろとご協力してくださったのに、ご期待に添えず申し訳ありませんでした」

「とんでもございません。せめて、最後の食事は特別豪勢なものをご用意いたしますね」


温かい言葉に涙腺が緩む。

あぁ、本当にこれでお別れなんだ。短い間だったけれど、なんだか寂しい。

きっと、城を出たら地獄が待っている。陛下に見染められずにのこのこと帰ってきた私は、敷居を跨がせてもらえないかもしれない。なんせ、引き取られた頃から政略結婚の道具として育てられてきたのだから。

しくしくと泣くカリーヌに別れを告げた後、郊外へと向かう馬車の用意ができたと大臣から伝えられた。頭をよぎったのは陛下の姿だ。

今日はずっと顔を見ていない。見送りもしてくれないのかな。いや、期待するのはやめよう。会って別れを告げないのは、少しでも情を持ってくれたからだと都合よく解釈したくなる。

顔を見たら、ここに居たいと思ってしまう。お互いに恋愛感情なんてないのに。