冷酷陛下は十三番目の妃候補に愛されたい


俄然やる気を出した様子のふたり。

短い見定め期間で味方が増えるのは願ってもない話だが、どうも不安だ。そもそもレウル様に気に入られたわけではないのに。

話を聞きつけたカリーヌは、感動のあまり「ご結婚おめでとうございます」だなんて泣いていた。いやいや、飛躍しすぎだろう。

当事者を蚊帳の外に周りが盛り上がっている。もうなにを言っても謙遜にしかとらえられない。

その後、公務から戻った陛下も妙に浮かれた使用人たちの様子にいろいろ察したようだが、いつもの微笑を浮かべ、うわべの態度しか見せないままだった。

そして、見定め期間六日目の夜。事件は起こったのだ。


「よぉ、お嬢さん。ついに明日が期限日だな。陛下とはどうだ?うまくいってるか?」


ひとりで夕食を終えて自室に戻る途中、アスランに声をかけられた。


「うぅん、せっかく協力してくれて申し訳ないけど、これといって進展はないの。ごめんなさい」