冷酷陛下は十三番目の妃候補に愛されたい


子どもに言い聞かせるような甘い口調。いつものロイヤルスマイルが炸裂している。またからかわれた?こちらの反応を見て楽しんでいたの?

草むしりといい、今といい、本気なのか冗談なのかわからないセリフで惑わされる。

平然と扉を閉めようとする手を掴んだ。


「待ってください!」

「だめだ。間違いがあってはいけないからもう部屋には入れない。これからは君と話す時間も作るよ。だから、今後は無茶しないこと。いいな?」


包帯の巻かれた腕に視線を落とされ、ぐっと言葉が詰まる。

なんとか食い下がろうとしたものの、こちらの心中を察したらしい彼は、にこやかに言い放った。


「悪いけど、今の君にはそそられない」


容赦なく閉まる扉。廊下に座り込んだ放心状態の私がただひとり残される。

なんて辛辣でシンプルなセリフ。今のは紛れもない断り文句だ。きっと、その気持ちは一週間足らずでは変わらない。

私には、女としての魅力もないのか。

自覚した途端に涙が溢れそうになる。

城に来て二日目の夜。熱がこもる喉を必死で堪えながら、とぼとぼと自室へ帰ったのだった。