冷酷陛下は十三番目の妃候補に愛されたい



その時、ぐん!と手を引かれた。抱き起こされて動揺していると、静かな声が耳に届く。


「すまない。意地悪をしすぎた」


穏やかな碧眼と目が合った。

先ほどの色香のある表情はどこへやら。ベッドサイドに腰掛けた陛下は、少し乱れてしまった私のナイトウェアの襟を優しく正す。

まさか、怖がったのを気づいてくれた?


「あの、や……やめないでください!」

「ん?」

「うまくできなくてごめんなさい。でも、次はちゃんとするので」


ここで後戻りしたら、城に来たときと変わらない。見定め期間は七日しかないのだ。チャンスを無駄にしたら二度と近づけなくなる。

ふわりと抱き上げられる体。

目を見開くと同時に、軽々と扉の方へ運ばれる。彼は片手でノブをひねり、私を廊下に優しく下ろした。


「こういうことは命令されてもしないでいい」

「お、終わりですか?」

「ああ。夜は冷えるから、早く部屋に戻りなさい」