冷酷陛下は十三番目の妃候補に愛されたい



数秒平静を保っていたが、それも長くは続かない。押し寄せる様々な感情に負け、受け取ったグラスをサイドテーブルに置くと、バスローブに包まれた華奢な体を抱き上げた。


「ひゃっ!レウル様?」

「すまない。立てないとは思わなかった。このまま浴場まで運ぶよ。やっぱり一緒に入ろう」

「えっ。大丈夫です!さっきは力が抜けただけで、もう自力で歩けますから」


横抱きにされて、腕の中で抵抗する彼女に頬が緩んだ。

こんなに軽くて、抱きしめたら折れてしまいそうな彼女が、ずっと俺の隣で戦ってきてくれた人なのか。


出会ったばかりの頃の印象は、自己肯定感が低くて消極的な子だった。

だけど思い返せば、冷たい態度をとっていた俺の部屋に謝罪に来たのも、応急処置を学びだしたのも、戦場に赴いたのも、全て彼女自身が選んだ道だ。

強い芯を持っていて、前向きで、頑張り屋さんのこの子は、鍵をかけていた心の中にいつのまにか居座っている。

温かくて優しい俺の大切な人。