冷酷陛下は十三番目の妃候補に愛されたい



「おはよう、ランシュア」


自分を探している姿に表情が緩み、声をかける。びくっ!と反応したランシュアは、勢いよくこちらを振り向いた。


「お、おはようございます」

「ちゃんと眠れたか?体はどうだ」

「はい、大丈夫です」


頬をリンゴのように染めて、ぎこちなく視線を逸らされる。昨夜の情事を思い出したのか、それとも俺のシャツの合間から見える肌に動揺しているのか判断しかねるが、恥ずかしがっている姿が可愛らしい。

昨日脱がせた襟の詰まったワンピースを着せるのも堅苦しく思い、クローゼットからバスローブを出して手渡した。律儀にこちらへ背を向けて袖を通している。

もう全部見たのに、なんて言わない。


その姿はいつか見た彼女と重なった。

以前、浴場でのぼせた体を引き上げた時、思った以上に動揺してしまった自分がいて、あんなにも心を乱された経験は後にも先にも一度きりだ。

エルネスとアスランをこっぴどく叱ってしまったが、あの出来事がなければ、ランシュアと幸せな朝を迎える未来はこなかっただろう。