冷酷陛下は十三番目の妃候補に愛されたい



心臓が大きく脈打つ。

ふたりきりの空間は、邪魔するものも盗み聞くものもいない。だからといって、私は経験もなかった。人を好きになるどころか恋愛さえ知らない。

ましてや男の人を誘惑する術なんて知る由もないのだ。

彼は繋いでいた手を掴み、そっと自分の頬に添えた。きめ細やかな肌とブロンドの髪の柔らかい感触が伝わる。


「こうやって好きに触っていい」

「へ、陛下」

「違うだろう?こういうときは名前で呼ぶんだ」


撫でるように頬から首筋へ、重ねられた手によって導かれていく。肌にしっかりと触れるのもまだ抵抗があった。誘い方を教えられているのか?


「レウル、さま」


小さく名を呼ぶと手が離れ、流れるように横抱きにされた。

柔らかなベッドに体が沈むと再び指を絡められ、シーツに縫い付けられるように組み敷かれる。それは強引ではないが、抜け出せない程の力加減だ。

とっくに受け入れるつもりだったし、自分は大切にされなくてもいいと思っていた。でも、いざとなると急に体が強張る。

これからどうするつもり?この人は本気なの?

怖い……!