冷酷陛下は十三番目の妃候補に愛されたい



蓋を開けた中に入っていたのは、綺麗な指輪だ。透き通るような青い石が輝いている。

予想もしていなかったプレゼントに言葉が出ない。


「俺はアルソートの王だから、国のため、人々のために命を使うと決めていた。でも、レウル=クロウィドというひとりの男として、君を幸せにすると誓う」


左手の薬指に指輪が光った。

冷酷非情の陛下でも、取り繕った青い薔薇でもない甘い笑みがはっきりと視界に映る。


「俺の妃になってほしい。君の人生を俺にくれるか?」


無意識に涙が溢れていた。ぽろぽろと流れる滴は止まらない。

抱き寄せられて、レウル様の体温に包まれる。

温かくて、心地良くて、いい匂い。

あやすように背中を撫でる手も耳元で聞こえる声も優しかった。


「すまない、びっくりさせたな。嫌だったか?」

「違うんです。嬉しくて……ごめんなさい、シャツが汚れちゃう」

「気にするな」


そういえば、見定め期間を終えて城を出た私を迎えに来てくれた日もこうだった。

触れるのもためらわれるほどの高級品を身につけているにもかかわらず、泥だらけで泣いている私を抱きしめてくれたんだ。

状況も関係もあのときとはまるで違うけど、レウル様は変わらず側にいてくれる。


「私の人生をもらってください」