冷酷陛下は十三番目の妃候補に愛されたい



向こうは黙って言葉の続きを待ってくれている。

焦る必要はない。震えそうになる声を必死で絞りだす。


「私はずっと、ビジネスとしてお役に立とうと考えてきました。家の負債を消すため、駆け落ちした両親の罪償いのために、妃になろうとしてきたのです」


でも、と続ける。


「レウル様と一緒に過ごすうちに、心からあなたを支えたいと思うようになりました。青い薔薇の噂だけじゃない本当の陛下を知って、側にいたいと思ったのです。だから、その」


言葉がうまくまとまらない。

伝えたい想いは溢れるほどあるのに、好きなところを挙げたらキリがなくなる。

誠実で優しく芯の通った理想の王。寛容なだけではなく、ときには容赦ない一面もあるけれど、それは全て大切なものを傷つけないために必要な強さだ。

つらいときに側にいて、欲しい言葉をくれた。自分を大切にする意味を教えてくれた。

誰かに愛されることから一番遠い存在だったはずの私に、たくさんの温もりをくれた。

エルネス大臣やアスラン、ドレイクさん、多くの素敵な人たちとの繋がりを得られたのも、レウル様がいてくれたからだ。

まどろっこしい言葉はいらない。

一番伝えたい気持ちだけ声に乗せた。


「レウル様が好きです。この世界の誰よりも、あなたをお慕いしています」