冷酷陛下は十三番目の妃候補に愛されたい


ストレートでとびきり甘い言葉と、愛らしい子猫を見つめるような眼差し。

あぁ、これは完全にふたりきりのときにしか見せないプライベートモードだ。

首元のボタンをひとつ開けた白シャツに薄手のジャケットを羽織り、スラリとした黒パンツを履きこなしている。

シンプルな装いでも映えるのは、香りたつような色気と誰もが見惚れるほどの端正な顔立ちのせいだろうか。

ぽーっと見つめていると、形の良い唇がにこりと弧を描いた。


「どうしてテラスで待ち合わせをしたんだ?俺の部屋に来てくれてもよかったのに」

「実は、案内したい場所があるんです。到着するまで目を閉じてもらえませんか?」

「ふぅん。なんだろう?ドキドキするな」


素直に目を閉じてくれるレウル様。

手をとって歩きだすと、楽しそうに後に続いた。


「まだ目を開けてはいけませんよ?」

「ああ。見ていないよ」


信頼してついてくる陛下に、つい笑みが溢れる。

無邪気に楽しんでいる姿は初めて見たかもしれない。

やがて、目的の場所へと辿り着いた。立ち止まると、彼も到着したと気がついたらしい。


「ランシュア。もう目を開けてもいいか」

「はい」


返事を聞き、ゆっくりとまぶたを上げたレウル様は、目の前の景色に息を呑んだ。