長い指で輪郭を撫でながら呟く彼は、すっかり元の調子を取り戻している。
満足げに口角を上げたのはドレイクさんだ。
「あのペテン師の余裕が剥ぎ取られるサマは滑稽でしたよ。ははっ、ざまあない」
相変わらずズバズバ言う人だ。
それにしても、ダルトンさんの悪事を暴く証拠を集めていたとは気づかなかった。
どうやら、病室へ呼び出された際に指令を受けたようだが、たった一週間で証拠を揃えるとは。さすが凄腕の情報屋だ。
アスランは、サメノア国の国際裁判機関に属する監獄までダルトンさんを護送するらしい。屈強な騎士団長に見張られていれば、途中で逃げだすのも不可能だろう。
やっと全てにケリがついた後、レウル様は予定していた通り、城下町の住民と地方の領主たちを集めて過去の全てを説明した。ダルトンさんの逮捕や戸籍が証拠となり、国民は皆、語った内容を真実だと納得したのだ。
そして、王族の血ではなく、王の器を持つ本人の技量が認められ、レウル様は玉座につくことが許された。
国民に繋いでもらった命を国民のために使うと宣言した陛下に、地方からも支持の声が上がり、恒例の夜会でも和やかな雰囲気が流れる。
それは、すべて望んだ通りの未来で、今までしてきた取り組みが間違いではなかったという証明だった。


