冷酷陛下は十三番目の妃候補に愛されたい



そういえば、ダルトンさんは過去を調べて、両親を失った火事で背中に火傷を負ったと知っていた。

ハルトヴィッヒ王がクモを使った罠を仕掛けたのは、事前にダルトンさんから弱点になりうるネタを聞いていたからだったんだ。

どこまでも用意周到に張り巡らされていたと気づき、ぞっとする。

強引に隣国と戦争になるように仕向けたのも、全て自分が王位につくために?

全ての悪事が明るみになり、レウル様はトドメのセリフを言い放つ。


「ダルトン=クロウィド。アルソート国王の名において、お前の王位継承権を剥奪し、国外追放とする。最後の情けとして、サメノア国の牢獄までは手配した馬車で送ってやろう」


青い薔薇の鋭い言葉の刺が、容赦なく反逆者を突き刺した。

力強くアスランに引き上げられ、ダルトンさんは両手を拘束された状態で部屋を出ていく。


まさか、こんな展開になるなんて思わなかった。

これが、病室で言っていたケジメ?

声も出せずにごくりと喉を鳴らすと、小さく息を吐いたレウル様が器用に黒手袋をはずす。いつもの穏やかな微笑みとは異なる、危うい色気をまとう伏し目に胸が鳴った。


「あぁ、久しぶりに悪い顔をしたら頬が痛いな」