冷酷陛下は十三番目の妃候補に愛されたい



『あなたがビジネスにおいて必要としてくださるなら、私なんかがお役に立てるなら……どんなものを抱えていようと、ともに背負ってみせます』


書斎で初めて本心に触れた日、お飾りの妃として尽くすと決めた。

だが、今は違う。

愛を知って、心から側にいたいと思える。


「レウル様は、王位を退いたりしませんよね?」


かつて、正統な王位継承権を持たない自分は国のトップになる資格がないと言っていた彼。

少し不安になって尋ねると、覚悟を決めた声が返ってきた。


「俺は、自分こそ王に相応しい男だなんて考えるのは傲慢(ごうまん)だと思っているよ。でも、臣下や国民のおかげで生きながらえた。その命を民のために使わないほうが裏切りだ」


その瞳に迷いはない。

晴れやかに澄んだ青い瞳は、覚悟の色を宿していた。


「退院したら集会を開いて、自分の口から過去の全てを国民に伝える」

「今の話を公表するのですか?」

「あぁ。このままでは、俺を育ててくれた“父上”が、跡継ぎのために愛人を利用した悪い男のレッテルを貼られたままになるからな」


繋いでいた手を握り返される。不安な気持ちを察したのだろう。


「大丈夫。俺はもう恐れない。ありのままを語って、国民や臣下と向き合うんだ。……批判の声が上がっても、君が味方でいてくれるから。怖いものなんてないんだよ」