「王妃が刺客を差し向けたのではございませんよ。レウル陛下を引き取ろうとおっしゃったのは王妃ですから」
こちらの思考を察したように、エルネス大臣が言った。
話によると、自分のせいでルイスさんとシャーロットさんが亡くなってしまったと感じた先代の王は、ひどく自分を責めたらしい。見かねた王妃が引き取り手のなかった孤児を自分たちの子として育てようと提案したそうだ。
先代の王が受け入れたのは、せめてもの罪滅ぼしのつもりだったのだろうか。
『息子が幸せに生きる国をつくってくださるなら夫も浮かばれる』
きっと、シャーロットさんの言葉が支えだったに違いない。
王位を継承させたのも、自分が亡くなった後にレウル様の居場所を守るためだとしたら納得がいく。
「父上はなぜ嘘をついたのだろう。真実を言ってくれればよかったのに」
「自分が嫌われてでも、陛下を傷つけたくなかったのでしょう。天涯孤独だと知れば、城にいる資格がないと思うかもしれない。義理の父親だとしても、陛下を守ろうとしたのです。ダルトン様には勘づかれてしまいましたが」


