冷酷陛下は十三番目の妃候補に愛されたい


エルネス大臣は、目に涙を浮かべていた。

夫を見殺しにしたと責められてもおかしくないのに、覚悟していた罵倒よりもずっと優しい言葉が返ってきたのだ。

だが、レウル様は険しい顔で大臣に尋ねる。


「たしか、母上は革命直後に毒殺されたはずだろう?」

「えぇ。ちょうど、シャーロット様と話をした翌日でした。毒の仕込まれた薔薇の送り主は特定できませんが、先代の王は自分と関わったせいだと考えていたようです」

「どういう意味だ?」

「レウル陛下の髪と目の色を第三者が見れば、先代の王とシャーロット様の子であると勘違いしてもおかしくありません。それに、新たな国の基盤を作る大切な時期に仕事を放って下町の女性の家へ向かうなど、よっぽどの事情がないと有り得ないでしょう」


つまり、ルイスさんの訃報を伝えるために家を訪れたせいで、先代の王の愛人であると勘違いされて殺されたの?

そうなれば、犯人はシャーロットさんの存在が目障りに感じる人物だ。

まさか、王妃が……?