エルネス大臣は深く頷いた。
たしかに、先代の王とよく似たブロンドの髪は敵を惑わせることも可能だっただろう。
レウル様が髪色で嫡男であると疑われなかったのは、本当の父であるルイスさんも同じブロンドの髪だったから通じた嘘なのだ。
もう、信じるしかない。
「レウル陛下が書斎で見つけたシャーロット様の写真は、ルイス様の遺品なのです。先代の王は革命後に、亡骸から写真を預かり、参謀であった私を連れてシャーロット様を訪ねました。ルイス様が自分の身代わりとして亡くなったと伝えるために」
革命では多くの犠牲者が出たと聞く。
もちろん、革命軍を率いていた先代の王を守るために命を落とした戦士はルイスさんの他にもいただろう。
しかし、その中でもルイスさんの存在は、先代の王の心に深く残ったはずだ。目の前で敵の群れに突っ込み、たったひとりで戦った。
きっと、勝機などないと悟っていたのに。
“自分が生きるために利用してしまった”
先代の王が、そう悔やんでもおかしくない。
「ご自宅にうかがった日、レウル陛下は生まれてから半年が経っていました。ルイス様の訃報に、シャーロット様はひどくショックを受けていましたが、“息子が幸せに生きる国をつくってくださるなら夫も浮かばれる”とおっしゃっていたのを覚えております」


