冷酷陛下は十三番目の妃候補に愛されたい


“無事に退院し、久しぶりの我が家
私たちのもとにやってきてくれたのは男の子だった

赤ちゃんの名前は、レウル
生まれてきてくれてありがとう

ルイスがはりきって名前を呼んでいるけど、お父さんをちゃんとわかっているのかしら?”


その時、手帳に挟まれていた写真がひらりとベッドに落ちた。そこに写っていたのは幸せそうな家族だ。

生まれたばかりの赤ちゃんを抱いている女性はシャーロットさんで、隣の男性がルイスさんだろうか?

初めて見たルイスさんは背の高い好青年で、革命軍の軍服を身につけている。スッと通った鼻筋は凛々しく、シャーロットさんとお似合いの美男であった。

だが、それ以上に目を引くのはブロンドの髪だ。

剣を携えて女性の肩を抱く姿は、まるで目の前の陛下かと見間違えるほどである。

その意味に気がついた瞬間、レウル様が動揺したように尋ねる。


「エルネス。これは一体?」


しぃんと静まり返る病室。

大臣は穏やかな声で答えた。


「全ては日記の通り。レウル陛下の本当のお父さまは、写真に写っているルイス様なのです」