冷酷陛下は十三番目の妃候補に愛されたい


そもそも、“本気になりたい”と告げられた頃から向こうの気持ちは前進したのだろうか?私がちゃんと好きだと言わなければ、本当の妃にも迎えてくれない。

胸板を押して離れた私は、椅子に座り直してまっすぐ伝える。


「城に帰って全部落ち着いたら、お伝えしたい話があるんです。それまで待ってください」

「話?いま聞いたらいけない?」

「たくさん準備しているものがあるので、ここではちょっと」

「サプライズ?それ、俺に言ってもいいのか?」


口が滑った。

つい目を泳がせるが、納得してくれたように微笑んでいる。


レウル様が城に帰ってきたら、ちゃんとこの想いを伝えよう。

どういう返事が来るかはわからないけど、きっと真摯に受け止めてくれるはずだから。


その時、軽く病室の扉がノックされた。

ふたりそろって返事をすると、顔を出したのはエルネス大臣だ。城での業務に追われていた彼が見舞いに来るのは珍しい。

久しぶりに陛下の顔を見た大臣は、部屋に入った瞬間から、大洪水と言っても過言ではないほど泣いている。


「うぅっ、陛下……!よ、よくご無事で」

「世話をかけたな、エルネス」

「あぁっ、とんでもない。私は陛下とご対面できただけで嬉しゅうございます」


ハンカチをぐっしょり濡らした後、エルネス大臣は私の隣に椅子を運んで腰掛けた。

城の様子や地方の情勢について伝えに来たのかと思ったが、そうではないらしい。大臣の面持ちはどこか緊張している。


「レウル陛下。あなたに大事な話があるのです」


部屋の外に待機する護衛も遠ざけ、人払いを済ませる大臣。私も席を外そうとしたものの、「ランシュア様はここにいてくださいませ」と優しく腕を引かれた。

見ると、気持ちを整えるように深呼吸をしている。喉につかえた言葉をだすのは相当勇気がいるようだ。

大臣は第一声を迷うように沈黙していたが、やがて、ゆっくりと語り出した。


「はじめに謝らなくてはなりません。私はずっと、陛下に隠しごとをしておりました」