冷酷陛下は十三番目の妃候補に愛されたい



え?今、招いてくれた?

頭上から降る声に、はっ!とした。こんなにあっさり受け入れてくれるなんて。

おずおずと部屋に入ると、そこは私に貸し与えられた部屋よりも広く、生活感があるわりに綺麗に整頓されていた。

カーペットは掃除が行き届いており、ベッドのシーツもシワひとつない。公務から帰って脱いだであろうシャツが丁寧にたたまれているところをみると、几帳面な性格のようだ。

ソファに腰掛けた陛下は、隣をトントンと指で指した。促されるまま座ると上質なクッションに体が沈む。肌触りも柔らかい。


「用件はなんだ」


単刀直入に尋ねられて隣を見上げると、頬杖をついてこちらを覗く青い瞳と目が合った。吸い込まれそうな透き通った色だ。

ちゃんと話を聞く姿勢に、覚悟を決めて切りだす。


「今日はご迷惑をかけてすみませんでした。あの薔薇園は、勝手に立ち入って良い場所ではなかったんですよね?不快な思いをさせてしまい本当にごめんなさい」


しぃんと部屋が静寂に包まれる。

バクバクと音を立てる心臓の鼓動を感じていると、予想以上に穏やかな声が返ってきた。


「いや、あの庭に思い入れがあるわけじゃないんだ。……傷は大丈夫か」

「はい。カリーヌに傷薬を塗ってもらいましたし、痛みもありません」