冷酷陛下は十三番目の妃候補に愛されたい


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「城の倉庫に大量の火薬が?」


帰路につく中、ドレイクさんの掴んだ情報に耳を疑っていた。


「えぇ。隣国は貿易が活発とはいえ、商品にしては少し不自然かと」


火薬は工業的な使い道や発電にも利用できるとはいえ、その大部分が銃火器や爆薬である。

なんとなく物騒な話にレウル様も腕を組む。


「アルソートも緊急事態に備えた自衛用で保管してはいるけど、そういうわけではないのか?」

「はい。それならば専用の火薬庫にあるのが普通だと思いますが、どことなく無造作に置かれていましたし、まるで近々使う予定があるかのような印象を受けました」


ぞくりと背筋が震える。

それが意味する未来はおそらく平和なものではないだろう。ハッキリと目的は分からないが、隣国が何かしらを企んでいるのは事実だ。


「あの、レウル様。夜会でハルトヴィッヒ王とお話しされたんですよね?どのような内容だったのですか?」

「あぁ。革命以前のように、アルソートの鉱山資源を輸出してくれないかと持ちかけられたんだ。全くこちらに利益がない条件だったから、すぐに断ったよ」