冷酷陛下は十三番目の妃候補に愛されたい


大切な人?

国の顔でもある王の妃が侮辱され、アルソートの品格を落とされたと怒ったわけではない。まるで見せ物のようにされた私を思ってゲスト達に怒りをぶつけたのだ。

顔を上げると、真剣な表情が見えた。綺麗な青い瞳にまっすぐ私が映っている。


「君の体が醜いから隠せと言うわけじゃない。だけど、これからは俺以外に見せないでくれ。君の美しさをわからないような人間に、簡単に見せてたまるか」


独占欲にも近いセリフ。

ずっと、彼の気持ちがわからないままだった。

妃に迎えたいと言ったのも、過去を受け入れたのが偶然私だけだったから。ただそれだけだと思っていた。

だけど今なら、うわべだけではないとわかる。初めて居場所をくれたこの人に向き合うことが許されるのなら、本気になりたいと言ってくれた気持ちに応えたい。

たいして特技もない、誰もが見惚れる美貌でもない私を、こんなに優しく受け入れてくれる。そのままで綺麗だと言ってくれる。生きる価値なんてなかった道具を人として尊重してくれた相手はいなかった。

こんな大切にされていいの?

まだ自分の気持ちに名前はつけられないけれど、青い薔薇の魅力に惹かれはじめていると自覚する。


「わかりました。もうこれからはレウル様だけ……あなただけにしか見せません」