冷酷陛下は十三番目の妃候補に愛されたい

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数十分後。シンプルな上着とスボンに着替え、いざ草むしりへと取りかかる。自前の作業着姿を見たカリーヌは動揺を隠せない様子だった。


『ランシュア様、その格好は一体……?』


ツギハギだらけの服は令嬢らしからぬみすぼらしいものだ。

リガオ家で召使いのような扱いを受けていた頃は雑用を押し付けられるのがあたり前で、庭の手入れや馬小屋の清掃をする日もしばしばあった。もちろん真新しい服なんて買い与えられるわけがない。

作業着に慣れているためきらびやかなドレスを着るよりも落ち着くのだが、困惑したカリーヌは『代わります』の一点張りで、なんとか日除けの帽子を受け取って落ち着いたのである。


だが、準備万端で城の裏手にまわったものの、広大な敷地に広がった芝生はすでに綺麗に刈りそろえてあった。

考えてみれば、ここには顔も覚えられないほど多くの使用人が雇われている。庭が手入れされていないはずがない。

あの陛下、それをわかっておきながら……。

どうやら、軽くあしらわれただけのようだ。近くをウロチョロされるのが迷惑だったのだろう。着替えまでした自分が恥ずかしい。


あれ?