すごい怖い顔。陽斗。



「お前、飲み過ぎ」



こんな怒ってる陽斗を見るのははじめてで。



私も酔いがすっとさめるようだった。



「そんでスキ見せすぎ」



「ごめんなさい…」



陽斗は深くため息ついて、


私の髪の毛をなでながら、


「お前は俺に心配かけさす天才だな」



そう言って私を抱きしめた。



「陽斗っ、だめっ」



誰かに見られたら…



「本当は、皆に言いたいよ。陽菜は俺の女だから手を出すな、って」



陽斗…。



「こんなんじゃアメリカ行っても心配だな。俺、行けないかも」



ふふ、と笑って陽斗がキスしかけた時、



閉じかけた目がある人の影を見た。



そこにいたのはヒカリさんで。



体を離そうとする私の視線の先をたどり、陽斗も彼女の存在に気付いた。



「陽斗が急に席を立っていくから、おかしいと思って…」



言うヒカリさんの顔は青くて、元々色白の顔がその青さを余計に際立たせていた。