「お前ら、見事に話噛み合ってねぇな。叶人の勘違いは異常だし、姫野さんはその勘違いの意味を理解してねぇし。逆に相性がいいのか……?」

「そ、そんな……私が橘くんと相性がいいだなんてあり得ないです!」


あくまでもこれは恋人のフリ。
私が橘くんに見合うわけがない。

橘くんにも申し訳ないと思い、全力で否定する。


「だってよ、叶人。
まだまだ先は長いみたいだな」

「姫野さんって上げて落とすのが得意みたいで……俺、そろそろ死にそう」


し、死ぬ……!?

確かに、今の橘くんは暗く落ち込んでいる気がする。
彼の気持ちをわかってあげられないうちは、本当に彼女として失格だ。

そのため恋人のフリが終わるまでの間だけでも、橘くんのことを知っていこうと思った。