「もしかして付き合ってること隠すつもりだった?」
「え、あの……」

芽衣ちゃんの言葉にチャンスだと思い、付き合っていないと言おうとしたら……。


「みんな、そんな騒いでどうしたの?」


果たしてタイミングが良いのか悪いのかはわからなかったけれど。

私なんかと付き合っているとうわさされている、橘くんが教室に現れたのだ。


本当に申し訳ない。
今すぐ土下座したいレベルだ。


橘くんも状況を察していないようで、目を丸くしていた。

どうしよう、誤解を解かなければ。
頭ではわかっていても、言葉に詰まってしまう。


「騒ぐって、当たり前だろ?」
「叶人と姫野さんが付き合うことになったんだからな」


あたふたしているうちに、クラスの男の子がうわさを口にしてしまい。

橘くんはくっきり二重の目が、大きく見開かれる。
やっぱり彼も知らなかったのだ。