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そのチャイムの音は、昼休みが始まる合図だった。
学級委員の号令で授業が終わる。
ついにやってきた昼休み。
私はすでに教室から逃げ出したかった。
その理由はというと、今から橘くんと……。
「姫野さん」
「……っ、は、はい……!」
声がうわずってしまうのは、緊張からか。
心の準備をする間もなく、橘くんが私の席にやってきた。
「準備、できた?
ゆっくりでいいからね」
「あ、ううん……大丈夫だよ!」
慌ててカバンから財布を取り出し、立ち上がるけれど。
すぐに感じた周りの視線に、早速怯んでしまいそうだ。



