「デートの定番といえば、遊園地とか水族館とかだね」
「遊園地、水族館……」
どちらも人が多いイメージしかない。
その中で橘くんのとなりを歩くだなんて……周りの視線に殺されそうだ。
考えただけでも生きた心地がしない。
「もしハードルが高かったら普通にショッピングでもいいし……ブラブラ歩く感じで」
ブラブラ、ということはつまり……会話をしないと気まずい沈黙の中で歩かなければならない。
橘くんはぜったいにこんな私と話すだなんて、おもしろくも楽しくもないはずだ。
「なんでデートの場所を提案するたび、絶望したような顔するの。逆にこんなところがいいなとか希望はある?」
「希望……は、人が少なくて、目立たずに済む場所で、あと橘くんとあまり喋らなくていい……」
「待って待って、希望が多すぎ。それに天音の希望通りのデート場所なんて難しいから」
「ご、ごめん……やっぱりそうだよね」
こんなわがまま、通るほうがおかしい。
覚悟を決めるべきだろう。



