「じゃあ、私で良ければ……」

「本当?受け入れてくれて嬉しいな。
姫野さんの食べている姿、動画に収めよう」

「ど、動画……!?」

「動画だと、いつでも姫野さんのかわいい食事シーンが見られるからね」

「……っ、ダメです!」


橘くんは平然た言っているけれど、私は恥ずかしくてたまらない。

食べているのを撮られるだなんて、罰ゲームもいいところだ。


もしかして橘くんは男の子たちと、私のブサイクな動画を撮って共有するつもりなのだろうか。

そう考えると、体が震えてしまう。


「ダメ……どうして、ダメなの?」
「恥ずかしくて、それに橘くんのスマホが汚れちゃうよ」

「彼女のかわいい姿は常に自分の手元に残しておきたいものなんだよ」

「そ、そんな、私たちは恋人のフリで……んっ」


うっかりと恋人のフリと口走ってしまったからだろう。
橘くんの右手がそっと私の口元を塞いだ。