「あの、芽衣ちゃん……一体なんの話をして」

「だってあの王子様と付き合うことになったんでしょ!?」

「……へ」
「朝からそのことで話題持ちきりだよ!」


王子様と、付き合うことになった……?


王子様と言われてパッと頭に浮かんだのは、1年のときから同じクラスの男の子で。

けれどありえないと思い、首を横に振る。
その人はクラスの枠を超えて人気者であり、冴えない私と釣り合うはずがないのだから。


「えっと、その……誰と誰が?」
「なに言ってるの!叶人くんと天音が!」

「……えぇ!?」


思わず大きな声をあげる。

だって、芽衣ちゃんが口にした人は、私が思い浮かべていた王子様である橘叶人(たちばなかなと)くんだったからだ。