「本当?奇遇だね、俺も今日は食堂を利用するつもりなんだ」


遠回しに断ろうとしたけれど、なぜか食いついてきて。
予想外の展開に嫌な予感がした。


「せっかくだし、一緒に食堂で食べようか。
姫野さんの食べてる姿を目の前で見たいんだ」

「私とご飯だなんて、ぜったいに橘くんはつまらないと思うので……!」

「その逆だよ、姫野さんの新たな一面が見られるんだ。考えただけでも頬が緩みそうだ」


つまらないはずなのに。
橘くんは私のことを知ろうとしてくれているのだ。

いつまでも避けようとしてしまう自分が恥ずかしくなり、思い切ってうなずくことにした。