それでも橘くんに全責任を負わせることはためらわれ、なかなかうなずけない。 「橘くん、やっぱり……」 そのとき。 橘くんが私の背中に手をまわして、そっと抱きしめてきた。 あまりに突然のことで、頭が真っ白になる。 「姫野さん、俺の腕にすっぽりハマっちゃうくらい小さいね」 「え……」 「ずっとこうしたかった。今、姫野さんが俺の家にいて俺が触れてるって考えただけでもう……死ねる気がする」 し、死ねる……!? もしかして橘くんは、死を考えるほど思い詰められているのだろうか。