その溺愛、重すぎます!〜甘い王子様の底なし愛〜




思い出せて良かったと安心したのも束の間。


「姫野さんは俺と付き合ってるってうわさが流れるのは嫌?」

橘くんはやけに真剣な表情で質問してきた。
嫌というよりは、正直……。


「た、橘くんに申し訳なくて……こんな私と誤解されていることが」

本当はもっとお似合いの人がいるのに。
憧れを抱いている橘くんの存在は、手が届かないほど遠いのである。

それなのに今、近くにいることが不思議でたまらない。
その瞳には私しか映っていないのだ。


「俺は嬉しいのにな」
「……え」

「姫野さんとのうわさが流れて」
「どうして、ですか……?」


嬉しいと思うだなんて、あり得るはずがない。