怒ってないか不安で、顔を見上げるけれど。
「マイナスな発言だけ拾っちゃう姫野さんもかわいいな……」
「た、橘くん……?」
なぜか橘くんは揺らがない瞳で私をじっと見つめていて。
私が名前を呼んでも反応してくれない。
「たぶん自信がないんだろうね。
姫野さんほどの天女はこの世に存在しないのに……」
「て、んにょ……?」
思わず首を傾げてしまう。
いったいなんの話をしているのだろうか。
「些細な動作ですら俺を苦しめる姫野さんは罪深い人間だね」
「つ、罪ぶか……!?」
「そんな慌てる姫野さんも俺は好きだよ」
なんて橘くんはニコニコと笑っているけれど、あらぬ噂のせいで私が彼を苦しめているのだと思うと、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。



