「いや、違うな。姫野さんの作ったものを食べるということはつまり、体が一つになったも同然じゃ……」

「ああ、耳が痛い……学年一位の男がここまでバカな男だったなんて」

「同感だな。完全無欠のイメージが強い叶人の、唯一の弱点は姫野さんか」

「えっ……私が、ですか?」


私が橘くんの弱点?

思わず彼を見ると、パチッと目があった。
かと思えば……。


「はぁ、かわいい。
少し心の準備をさせて欲しいな」

「……っ、た、橘く……!?」


突然ギュッと抱きしめられて。
ふたりが目の前にいるため、いつも以上の恥ずかしさに襲われる。


「どうしようもないくらい姫野さんが好きだな……今すぐキスしたい」

「き、キスは……ダメです」
「んー、じゃあもう少しこのままで」


けれど橘くんの甘さは増していく一方で。
そんな彼に私はドキドキされっぱなしだった。