「天音、こんなやばい発言をされているのに、なにも思わないの?」
「やばい、発言……?」
「天音のことを撫で回したいとかおかしなこと言ってんのよ!」
撫で回す……とは、頭を撫でることだろうか。
橘くんは私の頭を撫でるとき、とても優しい手つきだから嫌じゃない。
むしろ安心して落ち着けるような、胸があたたまる。
「ああ……どうしてこんな純粋に育ったの」
「わ、私は大丈夫だよ芽衣ちゃん!」
芽衣ちゃんが心配するほどのことはない。
芽衣ちゃんに関係性がバレてしまった日だけが、少し過激だっただけである。
あの日のことを思い出すと、今でも少し恥ずかしいけれど。
あまり考えないようにと言い聞かせていた。
だっていつまでも引きずっている女だと面倒がられたくない。



