その溺愛、重すぎます!〜甘い王子様の底なし愛〜




もしかして、視界に入るなということだろうか。
不安になった私は慌てて車両を変えようとしたけれど、なぜか腕を掴まれてしまう。


「待って、姫野さん。
そんなに俺のことが嫌い?」

「……え」


パッと顔を上げると、橘くんの表情はひどく暗いものへと変わっていて。

ここまで落ち込んだ彼を私は初めて見る。


「あの、橘くん……?
どうしてそんなに落ち込んで」

「姫野さんが俺を避けるから」

「さ、避けるなんて滅相もないです……!
むしろ橘くんのとなりから離れるべきで」

「じゃあ俺のとなりにいてほしいな」
「えっ……私が、橘くんのとなりに……?」


橘くんはそれでいいのだろうか。
おそるおそる彼のとなりに立つ。

気を遣ってくれているのかと思いきや、橘くんは安心したように笑うため、私がとなりに立つことに関してなんとも思っていないようで安心した。