その溺愛、重すぎます!〜甘い王子様の底なし愛〜




今日だけは橘くんのとなりを歩く自分を許してくださいと心で唱えながら、駅へと向かう。


最悪なことに、駅には同じ学校の生徒が何人もいて。
その人たちからの視線もすごく、つい萎縮してしまった。


さらに向かい側のホームからも視線を感じたものだから、本当に橘くんのとなりを歩くことはおそろしい。


きっと橘くんも今の状況に呆れ、機嫌を損ねて……。


「姫野さんの最寄りって、どこなのかな」
「……え」


なぜか橘くんは笑っていた。

まるで上機嫌だと勘違いしてしまいそうなほど、にこにこと明るい笑みを浮かべていたのだ。


「えっと、私は……」


無理して笑っているのかもしれない。
そう思った私は、少しでも機嫌を損ねないようにと素直に自分の最寄駅を答えた。