「わっ、すごい……参考書が」
落ち着かなくて部屋を見渡していると、ふと本棚が目についた。
中には漫画などではなく、参考書などの大きめな本が並べられている。
橘くんは勉強に熱心な人なのだ。
そのとき、部屋のドアがガチャッと開いた。
橘くんが来たのだと思うと、無意識のうちに背筋がピシッと伸びた。
橘くんの手には飲み物の入ったコップがふたつあり、わざわざ用意してくれたようで。
そんな彼と目が合うなり、なぜか彼は固まってしまった。
「あの……橘くん?」
「俺の部屋に姫野さんが……もうダメだ、感激のあまり泣きそうだよ」
「えっ……」
橘くんは震えた声で話すとようやく動き出し、テーブルを挟む形で向かい側に座る。
そして私の前に、ぶどうのジュースが入ったコップを置いてくれた。



