もし今日にキッカケがあれば、橘くんに聞けるだろうか。
うわさを流した理由を。
「それって俺を好きだってことでいい?
え、俺たちってもしかして両想い……?」
「両想いの、相手がいるの?」
「……ああ、やっぱり違うよね。変に期待させないでよ姫野さん、それと早く俺のことを好きになって」
「えっと……?」
どうやらまた話が噛み合っていなかったようで。
なぜか橘くんに、私の頬を指で軽くつんつんされた。
「ふっ、かわいい。
今日はずっとふたりきりだね、幸せだな」
「ふたりきり……あの、橘くんの両親は」
「俺に気を遣って出かけてくれたんだ。
だからふたりの時間を存分に楽しもうね」
なぜだろう。
橘くんはいつもと変わらずニコニコ笑っているのに、なんだか嫌な予感がするのは。
それでも勉強を教えてもらう側として、少しでも点数アップができるように頑張ろうと思った。



