「ありえない……姫野さんはどんな格好でも似合うに決まっているよ。そう思う人間の目が節穴なんだ」
「じゃあ、あの……おかしくないですか?」
おそるおそる尋ねてみると、なぜか顔を背けられて。
やっぱり変なのかと思いきや……。
「かわいすぎて俺がおかしくなりそう。
あとで少し味見していい?」
か、かわいすぎて……!?
気遣っての言葉だとしても、恥ずかしくてつい照れてしまう。
「今からふたりきりか、我慢できるかな。味見どころか、本当に食べてしまったら……俺は姫野さんに嫌われてしまう」
「私が橘くんを嫌いになることはないです!」
私にも優しく接してくれる彼を、どうしたら嫌いになれるのだろうか。
嫌われるとしたら私のほうである。
だから橘くんは嫌がらせでうわさを流して……なんて、決めつけるのは良くない。



