本当にひとりでも大丈夫だというのに、出歩くのはあぶないと言われてしまった。
こんなに心配してくれる橘くんが、本当にうわさを流そうとした張本人なのだろうか。
やっぱり本原くんに詳しく話を聞かない限り、変に疑うのは良くないのかもしれない。
その思いが芽生える中で駅が見えてきた。
そんな駅前には、一際目立っている橘くんの姿があって。
存在感があり、やはりすごいなと思った。
こんな人の彼女役が私だなんて、誰もがおどろくはずだろう。
慌てて彼の元へと駆け寄り、名前を呼ぼうとしたけれど。
その前に橘くんが気づいてくれて、なぜか彼のほうから駆け寄ってきた。
「橘くん、駅まで来てもらってごめ……」
「やっぱり家まで迎えにいけばよかった」
「……え」
「駅に向かう途中に誰かに話しかけられなかった?」
その質問に対し、素直にうなずいた。
もし話しかけられるとしても知り合いである。



