「大丈夫だよ……!私のノートで良ければぜんぜん見せるから、授業のことは気にしないでね!」
私のノートなんて必要ないと言われたらどうしようと不安になったけれど、橘くんは小さく息を吐くようにして微笑んだ。
「俺は姫野さんと一緒に帰れなくなるから落ち込んでいるんだよ」
「……へ」
橘くんは眉を下げ、残念そうな顔をする。
私と一緒に帰れなくなるから落ち込んでいる……?
喜んでいるの間違いじゃないのだろうか。
「だから帰れない分、姫野さんが来てくれて嬉しい。
もっと近くに来てほしいな」
「そ、それは……あの、せ、制服をどうぞ!
私はもう行くね!」
やっぱり無理だ、まともに目を合わせられないというのに、さらに橘くんのそばに行くだなんて。
制服を渡して教室に戻ろうとしたけれど、突然橘くんが苦しそうな声をあげた。



