「……姫野さん?」 柔らかな声が聞こえ、すぐに橘くんだと分かった。 その声はカーテンの閉められたベッドから聞こえてきて。 「あ、の……着替え、持ってきました!」 ベッドに近づき、カーテン越しに話しかける。 これなら橘くんを直接見ることなく済みそうだと思った。 けれど彼がそれを許してくれなかった。 「中に入ってきてほしいな。 姫野さんを直接見たい」 それも強制ではない言い方のため、余計に断りづらい。