「あっ、姫野さん。
やっと出てきた」
「も、本原くん……?」
なぜか男子更衣室の前で、私が出てくるのを待っていた様子の本原くんに声をかけられた。
「これ、叶人の着替え。
せっかくだから姫野さんが持っていってくれ」
「え、あの……」
なにという暇もなく、本原くんに渡されたのは橘くんの制服だった。
これを保健室に届けろということだろうか。
「タイミング良かったじゃん、天音!そんなに心配してるんだから、やっぱり会いに行くべきだよ」
「……そう、かな」
まだ少し戸惑いがあったけれど、制服を渡すんだと言い訳をして保健室へと行くことにした。
それに、このまま気まずい関係で終わってしまうのも申し訳ない。



