「橘くんは映画、観ないのですか……?」
「我慢していたけどもういいかなって」
「えっ?」
「姫野さんは気にせずに映画観ていていいんだよ」
ニコニコ笑う橘くんに、もう不服そうな表情はなく。
私はスクリーンに視線を戻した。
けれど橘くんの視線がスクリーンに戻ることなく、最初はなかなか映画に集中できないでいた。
ただ物語が進むうちに話へとのめり込んでいき、あらすじ通りラストは感動だった。
大人のシーンはあったけれど、それ以上に深い内容だった。
「ラスト、すごく感動したね……」
終盤にはつい涙を流してしまい、胸がいっぱいだった。
「姫野さん、泣いていたね」
「……っ!?み、見てたの……?」
そんな、恥ずかしい。
ぜったいにブサイクな泣き顔だったはずだ。



