その声を聞いてどうやら喜んだらしい不審者は、(いや私の方が不審か)
「…君、そこで寝てどうしたの?」
と質問してきた。
何だか、人を前にして寝転がっているのも悪いなと思い(礼儀正しいのでね)
シュタッと座り直した。
いかんせん、先ほどから一切人と話していない私は会話が恋しくなってしまい、
あと、悲劇のヒロインぶりたくなり、
「…親に捨てられちゃって」
と、(特に悲しくもないのに)悲しい声色で話してみてしまった。
その声を聞いて、彼は、
「そっかぁ」
と言いながら、何故かやけに嬉しそう。
…サディスト?
とかなんとか思っていると、
彼はそのスタイルの良い長身をうざったそうに、
屈んで、ベンチに座る私と同じ視線に合わせて、言った。
「じゃあ、僕の家に来なよ」
ここで死ぬ予定だった私は、
ちょっとどうしてもベンチの寝心地が悪かったので、思わず
「良いんですか!」
と、明るいボイスで返してしまったのでした。



