何も言えずにいる私を見て、
彼は自身を嘲笑うようにして言う。
「…なーんて、もう嫌われてるか」
そう言う彼は、
加減もしない"男"の力で私をベッドに押し倒し、
私の両側に手をついて、
上から見下ろしてくる。
その表情からは彼の感情は読み取れなかったけれど、
下から見上げる彼は今まで見たことのない男の人の顔をしていて、
思わず妖艶さを感じてしまう。
…そんなことをぼんやり考えている暇なんて本当は無かったらしい。
彼はそのままゆっくりと顔を下ろしてきて、
その形の整った唇を、
私の唇に重ねてきた。
そして、激しく、激しく。
私の唇を喰みながら、舌先で弄ぶ。
思わず声が出てしまって、
それでも彼はキスをやめない。
ようやくやめたかというときに、
彼は鋭い眼光で、
「…大河に守られてるのを見たときの僕の気持ち、君には分からないでしょ?」
「苦しくて狂いそうで死にたくなる、そんな気持ち」
そう言ったかと思うと、
彼はおもむろに私のルームウェアの肩の部分をはだけさせて、
唇で鋭い痛みを与えてくる。
彼は私の肩に沢山の紅い花びらを咲かせながら、
「…逃がさないよ」
「…離れないで」
「…そばにいて」
吐息まじりに、そう言ってくる。



