言われるがままにお風呂に入って、
これからどうなってしまうのかと、
ただ、ただ不安で。
…大河は、無事だろうか?
彼の心配もしたいけれど、
自分の安全すら確保されていない今。
私は優しいヒカリさんが好きだ。
…だから、今のヒカリさんが好きかと聞かれたら答えることは出来ない。
ヒカリさんは、
私のことをどう言う感情で見ているんだろう。
…愛してるとも、必要だとも言われた。
それは、恋愛をする相手として?
…ただ縛り付けておくだけの相手として?
答えの出ない全ては私を痛め付けるから、
いつかみたいに心を乾かして何も考えない。
そう決めてお風呂から上がり、
またあのルームウェアを着て、
黒の上質なタオルで髪を拭いてから脱衣所を出る。
私が出た瞬間にヒカリさんは慌てたようにこちらにきて、
「ねぇ、ねぇなんでネックレス外してるの?」
「…どうしたの、落としちゃった?」
焦ったように彼が聞く"それ"の正体が、
美しい三日月じゃないこと。
黒く光る私の首輪だったこと。
…全てをもう、知ってしまっている。
大河に預けているそれの行方なんて答えようがない私が黙りこくっていると、
「…なんで、何も答えてくれないの?」
彼は声を震わせながらそう言葉にした。
…心から泣いているような、そんな声に聞こえた。
ヒカリさんの初めて聞く声に
…どうしていいのか分からない。



