そう言うと、ヒカリさんはすぐに大河にかけていた手を離して、
いつも通り、甘い笑顔で微笑んで
「…良かった、帰ろう?」
と言う。
一気に空気を吸い込んだらしい大河は首元を押さえて咳き込み、
足の力をガクンと失って地面に蹲み込んでしまった。
そんな大河を気にもせず私の手を取るヒカリさんは、
…狂ってる。
私はヒカリさんに強く手を握られながら、
彼にバレないように大河の方を一瞬見ると、
大河は未だ首元を手で押さえながらも、
「だいじょうぶ」
と口パクで伝えてくれた。
あぁ、あぁ、怖い。
どこで間違えたんだろう。
ヒカリさんは確かに優しかったはずで…。
あの日、
私たちは出会わないほうが良かった…?
家に帰ってきてすぐ、
「美影ちゃん、今すぐお風呂に入って」
「他の男の匂いついてんの気がおかしくなりそう」
そう、
微笑みながら言われた。
…瞳に光は宿っていない。



