あんなにも安心感溢れる存在だった彼に、


今は、恐怖を感じ出していて…。




ガタガタと少しずつ震え出した体を抑えるように、


軽く私は、自分を抱きしめるようにした。




大河はそんな私をチラリと見てから



足音のする方から私を庇うようにして立ち、



彼は真っ直ぐ向こうを見ながらこちらは見ずに、



「……今すぐ、そのネックレスを外して」




と言って、彼は自分の右手だけ差し出してきた。




私は彼の言う通りに、


手がもつれそうになりながらも急いでネックレスを外して、


彼のその手に乗せた。



彼はそれをギュッと握ると、




「…ちゃんと俺が持っとくから」




「あんたは今すぐ、逃げて」




大河の『逃げて』と同時に、




「……ねぇ、僕の大事な子を隠してるの誰?」






彼は、




美しい金色の髪を月明かりで輝かせながら、




闇に満ちた瞳と色のない表情で、






そこにいた。






…どうしよう。



大河に言われた通り逃げたいのに、



ヒカリさんのオーラが凄くて、




…足が、すくんで動けない。





私は彼から極力見えないように、



大河の大きな背中の後ろに隠れた。





そんな私とは違い、



ヒカリさんに臆することなく大河は、



「…先輩、今生放送やってますよ」



「こんなところいたらまずいんじゃないですか?」




そう、言い放った。





押し黙っているヒカリさんが少し気になって、


思わず、大河の後ろから彼を盗み見ると




ヒカリさんと、



目が合ってしまった。